ピラティスの呼吸法|胸式呼吸のやり方と、腹式との使い分け
ピラティスの呼吸は、息を吸ったときに肋骨を横と後ろへ広げる胸式の呼吸です。お腹をふくらませないまま吸うことで、胴体の支えを抜かずに動けるためです。cocoro Pilates(ココロピラティス)では2025年6月から2026年8月までに、のべ約5,600レッスンをご案内してきました(自社調べ)。うまくいっているかの判断材料になるのは、肩が上がらずに息が入っているかどうかです。
息を吸ったときに肋骨が広がる向き
レッスン(2025年6月〜2026年8月・月平均およそ400)
動き出すのは、息を吐いている側
- 吸うときは肋骨を横と後ろへ。お腹はふくらませません
- 吐くときは肋骨を下げ、下腹が薄くなる感覚を残します
- 大きく動く場面は、吐いている側に合わせます
- 肩が上がるなら、吸う量が多すぎるサインです
- 妊娠中・産後間もない方
- 手術後・骨折直後など、運動制限がある方
- 強い痛み・出血・発熱・めまいなどの症状がある方
- 心疾患・重度の高血圧・重度の呼吸器疾患などがある方
- 骨粗鬆症・神経疾患など、運動にリスクがある方
- 医師から運動を制限されている方
持病や既往歴がある場合は、主治医の運動許可をご確認のうえご相談ください。
腹式呼吸ではいけませんか
いけないわけではありません。お腹をふくらませると胴体の支えがゆるむため、動いている最中は胸式のほうが形を保ちやすくなります。休むときは腹式で構いません。
息が入っている感じがしません
肋骨の横に手を当ててから吸ってみてください。手が外側へ押される感覚があれば入っています。胸の前が持ち上がるだけの場合は、吸う場所が上にずれています。
動いていると呼吸を忘れます
よくあることです。止まったまま呼吸だけを練習する時間を先に置き、動きは後から重ねてください。同時に覚えようとすると、どちらも崩れます。
呼吸が入っているかどうかは、見てもらうといちばん早く分かります
ピラティスの呼吸は「肋骨を横へ広げる」呼吸です
吸うときに肋骨を横と後ろへ広げ、お腹はふくらませません。胸式ラテラル呼吸と呼ばれます。

ラテラルは「横方向の」という意味です。胸で吸うと聞くと、胸の前を持ち上げる形を思い浮かべる方が多いものです。ここで狙っているのはその形ではありません。
- 広げる場所|肋骨の横と、背中側の下のほう
- 広げない場所|お腹の前、鎖骨より上
- 保つもの|下腹が薄いままの感覚。吸っている最中も抜かない
お腹をふくらませて吸うと、胴体を支えている力が抜けます。抜けた状態で手足を動かすと、腰が反るか、肩がすくむかのどちらかになります。ピラティスの呼吸が胸式なのは、支えを抜かずに息を入れるためです。マシンを使う場合の仕組みはマシンピラティスとはのページでご案内しています。
腹式呼吸との違いは、支えが残るかどうか
腹式は横隔膜を下げてお腹をふくらませる形です。休むときには向き、動くときには支えが抜けます。

腹式で吸うと、横隔膜が下がってお腹の前が前へ出ます。胴体の中の圧が下へ逃げるため、身体はゆるみます。眠る前や、緊張を落としたい場面ではこちらのほうが向いています。
胸式で吸うと、横隔膜は下がりますが、お腹の前が出ないぶん、行き場をなくした広がりが肋骨の横と後ろへ向かいます。胴体の周囲が締まったまま息だけが入る状態になります。
この差は、動いた瞬間に出ます。片脚を伸ばす、上体を持ち上げるといった場面では、胴体が締まっているほうが背骨の位置を保てます。ゆるんだ状態で動かすと、支えが足りないぶんを腰や首が肩代わりします。
- 腹式が向く場面|休むとき、緊張を落としたいとき、眠る前
- 胸式が向く場面|動いている最中、胴体の位置を保ちたいとき
- どちらでもよい場面|レッスンの前後、水を飲んで一息つくとき
どちらが優れているという話ではありません。使い分けるものです。
吸うときのやり方
鼻から吸います。肋骨の横に当てた手が外へ押されれば、狙った場所に入っています。

① 手を肋骨の横に当てる
仰向けか、椅子に座った姿勢で。左右の手のひらを、脇の下から少し下がったところに当てます。指先が前、手のひらの付け根が背中側を向く形です。
② 鼻から吸う
手のひらを外へ押し広げるつもりで吸います。お腹の前は動かさないままにします。胸の前が持ち上がったり、肩が耳に近づいたりしたら、吸う量が多すぎます。
③ 背中側にも入れる
横へ広がる感覚が出てきたら、背中側の下のほうにも入れます。仰向けなら、床と背中が触れている面積が増える感覚です。ここが入ると呼吸の量が変わります。
吸うのは鼻からです。口から吸うと量が入りすぎ、上へ逃げやすくなります。鼻から吸うと自然に量が抑えられ、横と後ろへ向かいます。
↓横に広がる感覚がつかめないときの手立て↓
手を当てても分からない場合は、タオルやストレッチ用のバンドを肋骨の高さでひと巻きし、前で軽く交差させて持ってください。吸ったときに布が張れば、横へ広がっています。手より分かりやすい方が多い方法です。
それでも分からない場合は、姿勢を変えてみてください。四つ這いになると、お腹の前は重力で下がるため前へふくらませにくくなり、背中側が広がる感覚が出やすくなります。横向きに寝て、上になった側の肋骨に手を当てる方法も分かりやすいものです。
感覚が出るまでの回数には個人差があります。数回で分かる方もいれば、しばらくかかる方もいます。分からないまま動きに進むより、この段階で止まっておくほうが後の進み方は早くなります。
吐くときのやり方
口から細く長く吐きます。肋骨が下がり、下腹が薄くなる感覚が残っていれば足ります。
① 口から細く吐く
唇を軽くすぼめ、ストローで吐くように細く出します。一気に吐くと胴体の力が抜けるため、量ではなく細さを優先します。
② 肋骨を下ろす
広げた肋骨を、前と横から閉じるように下ろします。手を当てたままなら、手のひらが内側へ戻ってくる動きです。
③ 最後まで吐ききらない
吐ききると、次に吸うときに肩が上がります。八割ほど吐いたところで次の吸気へ移ってください。下腹が薄いままの感覚が残っていれば足ります。
吐く長さは、吸う長さより少し長い程度で構いません。数を数える必要はありません。数えることに気を取られると、肝心の肋骨の動きが止まります。
呼吸が入っているかは、横から見てもらうと一度で分かります
動きと呼吸を合わせる順番
大きく動く場面を、吐く側に合わせます。吸っている最中は準備の時間だと考えると迷いません。
お尻を持ち上げる、上体を丸めて起こす、脚を伸ばす。こうした「力が要る側」は、吐きながら行います。戻す側で吸います。
- 吐きながら|持ち上げる、伸ばす、丸める、押し出す
- 吸いながら|戻す、下ろす、次の位置に置き直す
- 例外|背中を反らせる動きは、吸いながら行うほうが胸が開きます
合わせ方を覚えるまでは、呼吸を止めてしまう方が多くいらっしゃいます。止まっていることに気づけない点が難しいところです。声を出さずに数えられるかどうかで確かめられます。息を止めていると、数えることそのものができません。
↓呼吸と動きが合わなくなったときの戻し方↓
途中で分からなくなったら、動きを止めて呼吸だけに戻してください。動きながら合わせ直そうとすると、形も呼吸も両方崩れます。止まって二回ほど呼吸をそろえてから、同じ種目の最初に戻るほうが早く整います。
速さそのものが合っていない場合もあります。呼吸に動きを合わせるのではなく、動きに呼吸を追いつかせようとすると、必ず足りなくなります。呼吸の長さを先に決め、その中でおさまる速さまで動きを落としてください。
それでも合わない種目は、まだ段階が早い可能性があります。可動範囲を狭めるか、支えのある姿勢に変えると、呼吸に回せる余裕が戻ります。呼吸が乱れることは、量が多すぎるという合図として使えます。
うまくいかないときに起きていること
肩が上がる、お腹がふくらむ、息が止まる。この3つがほとんどです。原因はどれも吸いすぎです。

肩が上がる
入りきらない量を、首と肩の筋肉で吸い上げている状態です。量を半分に落としてください。少なく吸うほうが、横へ向かいます。
お腹がふくらむ
腹式に戻っています。手をお腹の前と肋骨の横の両方に当て、前の手が動かず横の手だけが動く状態を探してください。
息が止まる
動きに集中しているときに起きます。動きを一段やさしくすると、呼吸に回す余裕が戻ります。種目を減らすのではなく、動く量を減らします。
どれも、続けていれば自然に整うという性質のものではありません。気づいた回にその場で直すほうが、回数を重ねるより早く変わります。
慣れるまでに通る順序
最初に変わるのは呼吸そのものではなく、肋骨がどこまで動いているかに気づけることです。
ここに書くのは速さではなく順序です。感じ方には個人差があり、期間をお約束することはできません。
最初の数回
手を当てて止まっているときだけ、横への広がりが分かります。動き出すと分からなくなります。この段階では、それで問題ありません。
そのあと
手を当てなくても、吸ったときにどこが動いたかが分かるようになります。肩が上がった回に、自分で気づけるのもここからです。
さらにあと
動いている最中でも呼吸が続くようになります。階段を上がるとき、荷物を持ち上げるときに息を止めていたことにも気づきます。
呼吸だけが上達しているように見えなくても、動きの質のほうが先に変わっていることがあります。※個人の感想です。感じ方には個人差があります。
cocoro Pilates で呼吸から確かめる場合
静岡・北海道でマシンピラティススタジオを展開しています。初回は、動く前に気になっている場面をうかがいます。


呼吸だけを見てほしい、とお伝えいただいて構いません
「動画のとおりに吸っても、肩が上がってしまう」「お腹がふくらんでいるか分からない」。この程度の言い方で十分です。引っかかっている場面が決まっていると、その日に確かめる内容も決まります。
呼吸は、横から見ると分かりやすいものです。肋骨がどの向きに動いたか、肩が耳に近づいたかどうかは、外から見ればすぐに判別できます。自分では見えない場所だからこそ、一度見てもらう価値があります。
通い方はフリー利用・少人数グループ・パーソナルの3つからお選びいただけます。提供している形や利用条件、料金は店舗ごとに異なりますので、サービス・通い方のページでご確認ください。
まとめ
ピラティスの呼吸は、吸うときに肋骨を横と後ろへ広げる胸式の呼吸です。お腹をふくらませないのは、胴体の支えを抜かずに動くためです。吸うのは鼻から、吐くのは口から細く長く。吐ききらず、下腹が薄い感覚を残します。動きと合わせるときは、力が要る側を吐きながら行います。うまくいかないときは、肩が上がる・お腹がふくらむ・息が止まるの3つがほとんどで、原因はどれも吸いすぎです。量を半分に落とすところから確かめてください。
- 店舗ページから、通いやすい店舗を選ぶ
- 呼吸で引っかかっている場面をお伝えいただく
- 実際に動いて、持ち帰る形をご一緒に決める
よくあるご質問
吸うのは鼻から、吐くのは口からで合っていますか
その形が基本です。鼻から吸うと量が入りすぎず、横と後ろへ向かいます。口から細く吐くと、肋骨を下ろす動きが続けやすくなります。
吸うときにお腹をへこませたままで苦しくなります
へこませ続ける必要はありません。薄いまま保つだけで足ります。強く引き込むと息が入らなくなるため、力を半分にしてお試しください。
回数や秒数の目安はありますか
数える必要はありません。数えることに気を取られると肋骨の動きが止まります。吐く息が吸う息より少し長い、という程度で構いません。
鼻が詰まっているときはどうしますか
口から吸って構いません。量が入りすぎないよう、いつもより細く吸ってください。肩が上がらない範囲であれば、入る場所は変わりません。
呼吸だけを家で練習してもいいですか
できます。仰向けか座った姿勢で、肋骨の横に手を当てて数回行う形で足ります。動きを足すのは、手を当てずに分かるようになってからで構いません。
吸うと胸のあたりが苦しくなります
量が多すぎる可能性があります。半分に落としてお試しください。それでも苦しさが続く場合や、動悸・めまいを伴う場合は、まず医師にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35347.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「運動器の健康」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise
cocoro Pilates(こころピラティス)について
母体
整形外科・メンタルクリニック・整体院グループ・鍼灸院・パーソナルジムを運営する健康サービス企業が提供しています。
店舗
静岡・北海道でマシンピラティススタジオを展開しています。
ご利用状況
口コミ80件/平均評価4.8 ※個人の感想を含みます(2026年8月時点・Googleビジネスプロフィール)
これまでのご対応
2025年6月から2026年8月までに、のべ約5,600レッスンをご提供してきました(月平均およそ400レッスン)。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果を保証するものではありません。感じ方には個人差があります。痛みや不調のある方は自己判断せず、まず医師にご相談ください。